A4-SFX v4.1 ビルド詳細

7.2Lに詰め込んだパーツ詳細

マザーボードASUS ROG STRIX B660-I GAMING WIFI
CPUIntel Core i7 12700K
メモリーASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT DDR5-4800
ストレージWestern Digital WB_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB
SFX電源FSP DAGGER PRO 850W
ファンSilver Stone Air Slimmer 90 ARGB × 2
LEDストリップCOOLER MASTER ADDRESSABLE RGB LED STRIP × 2
グラフィックボードELSA ERAZOR GeForce RTX 4070 Ti
CPUクーラー簡易水冷 Asetek 645LT (上記の写真には含まれません)
今回の詰め込んだもの一覧

マザーボード

今回チョイスしたマザーボードはASUS ROG STRIX B660-I GAMING WIFI。価格と機能のバランスが優れたコストパフォーマンスの高いマザーボードです。
各種インターフェースが充実していますので、A4-SFXには十分すぎて寧ろ勿体無いくらいです。

ITXマザーボードなのでとてもコンパクト。


USB 3.2 Gen2 コネクターがあるので、A4-SFXのフロントUSBポート用のケーブルをそのまま接続できます。

右側のATX電源コネクターの下に、システムパネルヘッダー、USB 3.2 Gen 2 コネクター、USB 3.2 Gen 1 ヘッダー、SATAポートが順に並びます。

マザーボードの裏面には密かにM2ソケットが存在しており、表面と合わせて最大2枚のM2-SSDを搭載可能です。

マザーボードの裏面にもM2ソケットあります。

背面パネルのインターフェースも充実しています。ディスプレイはDisplayPort&HDMIポート、USBはUSB 2.0 ポートが3つ、USB 3.2 Gen 1 Type-Aポートが3つ、同Type-Cポートが1つ、USB 3.2 Gen 2 Type-Cポートが1つ。これだけあればUSBポートが不足してUSBハブを買い足す必要はないでしょう。無線LAN、有線LAN共に標準装備でネットワークも不安はありません。

背面パネルのインターフェースも充実。

CPU

CPUはIntel Core i7 12700K。「K」モデルをチョイスしていますがOCに興味はなかったりします。購入当時はまだ「Kなし」モデルが発売される前だったというだけの理由だったりします。A4-SFXでOCなど到底無理な話ですので、コストパフォーマンスを考えると大人しく「Kなし」モデルをチョイスするのがオススメです。

i7-12700K。パッケージにカッコよくUNLOCKEDと書いてあるものの、A4-SFXで真の力を解放することは到底無理です。

メモリー

メモリーはASUS DDR5 U-DIMM 32GB KIT DDR5-4800 (16GBx2)。12700Kと同時に購入したものです。DDR5メモリーが出始めのまだ品薄だった頃に購入したため、とにかく値段が高かった思い出があります。DDR5のメモリも今ではすっかりお求めやすくなりました。

超品薄だった頃なので奇跡的に在庫のあったものを購入しました。

ストレージ

SSDはWestern Digital WB_BLACK SN850 NVMe SSD 1TB。安心安定のWestern Digital製です。ストレージは何より信頼性が高いことが一番です。

WD_BLACK SN850。

SFX電源

SFX電源は、FSP DAGGER PRO 850W。フルモジュラーのSFX電源です。

SFX電源はとってもコンパクト。

付属のケーブルはA4-SFXで使用するにはケーブル長が長すぎて、A4-SFXの筐体の中に余分なケーブルを格納するための取り回しが非常に難しくなります。パーツは綺麗に収まってもケーブルが収まりきらないということが発生しがちです。

付属のケーブルたち。フルモジュラーと言えどA4-SFXに押し込むにはちとケーブルが長すぎます。

そこで今回は、付属のケーブルは一切使用せず自前でケーブルを用意しました。

自作ATX電源ケーブル。必要最小限のケーブル長で作成。

ATX電源ケーブル、PCIE電源ケーブル、EPS電源ケーブル、全て自作しました。ATX電源ケーブルはピン数が多いのでなかなか厄介です。PCIE電源ケーブルとEPS電源ケーブルはピン数が少ないこともありATX電源ケーブルに比較すると難なく作成できました。

今回自作したケーブルたち。右からEPS電源ケーブル、PCIE電源ケーブル、ATX電源ケーブル。PCIEケーブルはもう少し短くてもよかったかも。

ケーブルを自作することですっきりと配線することはできます。ですが自作ケーブルを万人にお勧めできるかと言えば答えはノーです。

理由は単純で配線ミスをしてしまった場合のリスクが高すぎます。ピンの結線を間違うと高価なPCパーツが一発退場になる可能性があることが挙げられます。また、きちんと動いているように見えても接触不良などの原因により後に火災発生の原因になることも考えられます。この結果、大切なPCパーツを破損、さらには家まで焼失となっては一大事です。

しかもこの配線作業には大きな罠が待ち受けています。電源ユニット側のコネクタのピンアサインはメーカー独自の仕様になっています。

ご存知の通りATX電源ケーブルコネクタのピンアサインは標準化された規格があります。このためマザーボード側のATX電源24ピンコネクタ、EPS電源8ピンコネクタ、グラフィックボード側のPCIE電源8ピンコネクタはどのメーカーでも共通のピンアサインになっています。

しかし、フルモジュラー式の電源ユニットのユニット側コネクタのピンアサインはメーカー毎に異なっており、独自仕様のピンアサインになっています。

フルモジュラー式電源ユニットに付属する専用ケーブルは、マザーボードやグラフィックボード側に接続する側のコネクタは規格通りのピンアサインになっていますが、電源ユニット側に接続するコネクタのピン配列は規格通りにはなっていません。各メーカー独自のものになっており、同じようなコネクタだからといって他社のフルモジュラー式のケーブルを使い回すことはできません。

電源が入らないレベルで済めば良いですが、先ほど述べたような大惨事が待っている可能性があります。

メーカー各社事情はあるのだろうと思いますが、規格通りのピン配列にしていてくれればケーブルの長さで悩むこともなくなるのにと思わずにはいられません。

今回はATX電源に付属しているケーブルの結線状況を1つ1つきちんとテスターで確認し、確実に付属ケーブルと同じ状態を再現する方法で自作ケーブルを作成しました。なぜか二股になっていたり、難解な結線状況だったりしていてなかなかに面白いのです。どうしてこうなったのだろうかという考察をし始めずにはいられません。心の中でメーカーとの対話が楽しめる方であれば自作ケーブルにチャレンジしてみるのも良いかと思います。

また、自作ケーブルにチャレンジする際に持っておくとお守り的に安心なアイテムがあります。ATX電源チェッカーです。

こちらはお安めの電源チェッカー。
こちらは12VHPWRにも対応したちょっとお高めの電源チェッカー。

こちらのチェッカーは電源装置のチェックが主体のアイテムです。ですので電源ケーブルの結線が間違えていることをチェックすることは想定していないと思われますが、大きく間違えて結線したケーブルを接続に用いた場合には何かしらの気づきは与えてくれるものと考えています。実のところ、これまでの結線ミスを起こしていないため本当に事前にミスの発見が可能なのかは未知数なのですが、少なくとも問題のない自作ケーブルでは正常にチェックできることを確認できています。自作ケーブルをいきなりマザーボードやグラフィックボードに接続して一発退場になるよりは、少しでも不安を軽減することができ、最悪電源チェッカーの尊い犠牲で世の安寧が守られるのであればそれほど高い出費ではないかと思います。

最後にもう一度警鐘を鳴らしておきます。安易にケーブルを自作しようとは思わない方が良いことを心に留めておいてください。その上でチャレンジしてみたいという方は慎重に慎重を重ねた上でトライすることをお勧めします。

ファン

ファンはSilver Stone Air Slimmer 90 ARGB。90mmの光るLEDファンはあまり需要がないのか取り扱いが非常に少なく探し出すのが思ったより大変でした。

90mmのARGBファン。

頑張って90mmARGBファンを探し出して入手しA4-SFXに装着しましたが、組み上げた結果まったく光っている姿は見えないという事実に打ちのめされることになりました。なるほど需要が少ない理由がよくわかりました。
ファンはAIOのラジエター冷却用ファンと筐体用ファンとして1つずつ合計2つ搭載しています。

LEDストリップ

光モノ強化アイテムとしてCOOLER MASTER ADDRESSABLE RGB LED STRIPを2本。電源ケーブルを自作することでケース内に少しゆとりができたので、折角だから派手に光らせてみようと思い購入しました。

LEDストリップ。景気よく派手に光ってくれます。

こちらのストリップはLEDのつぶつぶ感がなく滑らかに光るタイプです。こちらのストリップはメッシュ越しにいい感じに光が漏れ、ゲーミング効果抜群でした。

グラフィックボード

グラフィックボードはELSA ERAZOR GeForce RTX 4070 Ti。297mm(L)×118mm(H)×42mm(W)というスペックだけ見るとA4-SFXの許容グラフィックボードサイズ(295mm×144mm×40mm)を長さ・厚みが少しだけ超えているのですが、とってもぎりぎりながら何とかA4-SFXに収まります。

RTX 4070 Tiですが、297mm(長さ)×118mm(高さ)×42mm(厚さ)というコンパクトサイズ。長さ2mm超過、厚さ2mm超過でもなんとか筐体に収まりました。

CPUクーラー

CPUクーラーは簡易水冷をチョイスしました。ほぼA4-SFX専用のAIOであるAsetek 645LTを使用しています。以前はAsetekのアメリカのサイトで直接販売しており、その時に購入したものです。

Asetek 645LTとリテンションキット。今はもう購入できないようです。

アメリカから届いた645LTは、梱包用の段ボールの中にエアクッションで包まれた645LT本体が入っている状態でした。明らかに新品ではあるものの、パッケージも説明書も何もないのかと、何となくアメリカらしさを垣間見た瞬間でした。そんなわけで先頭のパッケージ集合写真には含まれていません。

ちなみにリテンションキットは別売りでした。当時はアメリカのAmazon内のAsetekストアが存在しており、リテンションキットを販売していました。

現在は残念ながら645LTの取扱はないようです。リテンションキットはAsetek自社ストア内で引き続き販売しているようです。

完成品

これらのパーツを詰め込んだ結果は以下のような感じに仕上がりました。

マザーボードとSFX電源側。LEDストラップはとても雑に配置。もう空間的なあまり余裕はありません。
グラフィックボード側。長さがシンデレラフィットなグラボ。LEDストラップの配置は適当過ぎですね。こちら側にはまだ若干空間的はゆとりがあります。

ベンチマーク

小型SFXケースのビルドなのであまりベンチマークを気にしても仕方がないのですが、軽くCINEBENCH R23とFF15のベンチマークを計測してみました。

CINEBENCH R23

CINEBENCH R23の結果は以下のような感じになりました。

12700Kを搭載しましたが、少々残念な感じのスコアになっています。10分間の計測結果の数値なので冷却能力が低めの小型ケースではどうしても低めのスコアになってしまいがちです。

電源リミット設定はB660-IのBIOSのAuto設定です。PL1=205W、PL2=241W、Tau=56秒の設定になるので、1分くらいでターボが終了、その後はジリジリとサーマルスロットリンクでスコアが下がっていく感じでしょうか。それなので12700Kの意味が全く無いのかというとそうことでもなく、1分程度の高負荷であればそこそこのパフォーマンスを引き出すことが可能だろうと考えています。ちょっとした動画の編集などでは十分な力を発揮してくれるものと思われます。もちろん長時間の動画書き出しなどの用途には全く向かないPCであることは言うまでもありません。

日常でCINEBENCH R23ほどの高負荷状態が10分間も続くタスクはあまりないことを考慮すると、A4-SFXと90mm AIOの組み合わせでも十分な能力を発揮できているのではないかと考えています。

夢を追い続けるSFFドリーマー以外はコスパの良さを考えて、12700Kではなく「Kなし」の12700をチョイスした方が現実的だと思います。

なお静音などという言葉は最初から気にしていないので、騒音については多くは語りませんが、冷却ファンの音はちょっと負荷が掛かっただけでとても騒がしい状態になります。90mmファンなので仕方がないところではあります。負荷が大きくなければ騒がしいというほどでもないので、常用するに当たってそれ程困ることはないというレベルです。間違いなく言えるのは静かなPCではないということは確かです。パフォーマンスも静音も両方欲しいという欲張りさんには厳しい感じです。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK

FF15ベンチマークは以下のような感じです。

「高品質 3840×2160 フルスクリーン」でスコア「9,050」。「とても快適」の判定になります。コンパクトな筐体に収まるコンパクトなグラフィックボードのRTX 4070 Tiであっても、その力は十分に発揮できているのではないかと思われます。

最後に

A4-SFXは本当に詰め込み甲斐のある小型PCケースだと思います。頑張った分だけそれに応えてくれる可愛いやつです。

しかし最近のCPUは爆熱、GPUは巨大化と言うトレンドの前では、小型PCケースは不利な状況に追いやられており、ハイスペックなPCを小型PCケースで実現するのは徐々に難しい状況になりつつあります。
後継としての登場した小型PCケースは、A4-SFXのコンセプトをキープしつつもA4-H2OやC4-SFXといったワンサイズ大きい筐体に移行しています。

それでもA4-SFXのコンパクトなかっこよさはやはり捨てがたいと思っています。次世代のCPU、GPUが登場した際には、A4-SFXでどんなPCを組めるのか改めて構想を練り直して、最適化したビルドを目指していきたいと考えています。

更新情報

2024年12月17日 Amazonへのリンク追加